【昭和の終わり 〜見習い時代〜】 まだJRが「国鉄」と呼ばれていた頃、友人に誘われてこの世界に入りました。
最初は右も左も分からず作業していましたが、ある時「結局これは1/1スケールの巨大なプラモデルを塗っているんだ」と気づいてから、仕事の流れが理解できるようになりました。

  • 当時の主流: 外壁は「複層塗材の吹き付け」が8割。
  • 塗料: アクリルラッカー系が主で、水性はまだマイナーな存在。高耐久といえばウレタン系でした。
  • 屋根: 和瓦が多く、屋根塗装の仕事はほとんどありませんでした。

【2000年頃 〜独立と変化〜】 2000年問題が騒がれた頃、勤めていた店を辞めて独立しました。この頃から、新築住宅でサイディングボードが普及し始めます。

  • 工法の変化: 吹き付けが減り(30%)、ローラー施工(70%)が主流に。
  • 塗料の進化: 外壁用塗料の8割が環境に優しい「水性」へ移行。
  • 屋根: 塗り替え需要が増え、水性シリコン塗料が多く使われ始めました。

【2011年頃 〜震災とサイディング〜】 東日本大震災があった頃です。個人的には人生初の骨折で長期休業した苦い時期でもあります。 この頃には吹き付け塗装はほぼ消滅し、ローラー手塗りが当たり前になりました。

  • 費用の変化: サイディング外壁の塗り替えが増えたことで、「コーキング打ち替え」が必須作業となり、全体費用が昔より2割ほど上昇しました。
  • 素材: 鉄部は「1液型ウレタン」、外壁下地は「微弾性フィラー」が全盛期でした。

【現在 〜最適解の時代〜】 そして現在。流行りの万能塗料などはなく、「適材適所」が主流の考え方になっています。 省エネ機運の高まりで、屋根には「遮熱塗料」を使うのが標準になりました。

  • 外壁: 単層弾性は姿を消し、ほぼ全て「シリコン塗料(ラジカル制御含む)」に。
  • 鉄部: より強固な「2液型ウレタン・シリコン」が主流。

振り返れば、人生の3分の2を塗装屋として過ごしてきました。 建設会社の倒産や、若い頃の失敗など色々ありましたが、職人として、エンジニアとして、これからの景色も楽しみにしています。

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