雨漏りしやすい家、しにくい家。〜プロが教える構造の真実〜

1. 「四角い家」は雨に弱い?
新しいか古いかに関わらず、雨漏りの相談を受けるのは、だいたい「箱型の家(屋根(軒)がない家)」です。 逆に言えば、昔ながらの「屋根(軒)がある家」は、構造的にあまり雨漏りしません。

今の雨漏りは、ドリフのコントのように「天井からポタポタ落ちてバケツで受ける」ようなケースは稀です。 壁や天井裏の断熱材が水を吸ってしまうため、部屋の中に漏れてきた時には、内部でかなり被害が進行していることが多いのです。

2. 原因特定は「解体」しないと分からない
「どこから漏れているのか特定してほしい」とよく頼まれますが、これを100%特定するには、怪しい箇所の壁や天井をすべて剥がして、水の道筋を目視するしかありません。 しかし、それには多額の復旧費用がかかります。 ですので、実際には「怪しい場所を外から一つずつ潰していく」という対処療法になることがほとんどです。

3. 【壁の構造別】雨漏り対策と塗料の選び方
家の作りによって、雨漏りのリスクと対策は全く異なります。

●鉄筋コンクリート(RC)・ALC(ヘーベル等)の場合 このタイプは、壁のひび割れや塗装の劣化が直接雨漏りに繋がります。 一番安く確実な修理法は、壁一面を**「複層弾性塗料」**で覆ってしまうことです。 これは下塗りと上塗りの間に「アクリルゴム」の膜を作る工法で、建物が揺れてひび割れても、ゴムが伸びて水の侵入を防ぎます。 (本当は新築時からやるべきですが、予算カットされがちな工程です……)

●サイディング・木造モルタルの場合 このタイプは意外と雨漏りしません。壁の下に「防水シート」が入っているからです。 壁のコーキングが切れたり、多少ひび割れても、下のシートが無事なら雨は入りません。 【注意!】サイディングの家に、上記の「弾性塗料(ゴム系)」を塗るのは厳禁です。湿気の逃げ場がなくなりますし、熱膨張で塗装が風船のように膨れて剥がれてしまいます。通常の塗り替えとコーキング補修で十分です。

4. 屋根とベランダの雨漏り事情

【屋根】 新しい家は屋根の下にも防水シートがあるため、「雨の入り口」と「出口(シミ)」の場所が大きくズレます。これが原因特定を難しくさせます。 予算が許せば「葺き替え(屋根の交換)」がベストですが、高額になるため、水の流れ(下から上)を辿って補修箇所を探ります。

【屋上・ベランダ】 実はここが雨漏り原因のNo.1です。 はっきり言いますが、防水工事に「安く上げる方法」はありません。 どんな工法でもそれなりの金額が掛かります。 昭和の頃のコンクリート住宅では、修理代が高いので「ベランダや屋上を潰して屋根を架けてしまった」という家も多いほどです。 これから家を建てるなら、「屋根のないバルコニーは作らない」というのが、一番の雨漏り対策かもしれません。

5. 番外編「屋根を塗装したら、逆に雨漏りした」
嘘のような話ですが、実はこれ、スレート屋根(カラーベスト等)でよく起こる事故なんです。

【原因は「水の出口」を塞いでしまうこと】 屋根の構造上、瓦と瓦の重なり目にはわずかな隙間が必要です。 屋根の内部に入り込んだ雨水や湿気を、その隙間から外へ逃がすためです。

ところが、たっぷりと塗料を塗ることで、この**「隙間」をペンキが接着剤のように塞いでしまう**ことがあります。 すると、行き場を失った水が屋根の裏側で溜まり、毛細管現象(水が狭い隙間を登っていく現象)でズイズイと奥へ吸い上げられ、最終的に家の中へ漏れてしまうのです。

【皮肉なことに、状態の良い屋根ほど危ない】 実はこの現象、劣化して反り返った古いスレートでは起こりません(隙間がガバガバなので)。 **「反りの少ない、ピシッとした状態の良い屋根」**ほど、塗料で隙間が埋まりやすく、この事故が起きやすいのです。

良かれと思って分厚く塗ったら雨漏りした……なんて悲劇を防ぐために、私たちは「縁切り(隙間を確保する作業)」や「タスペーサー(隙間を作る器具)」を使って施工します。

トップページへ