世の中に「安くて高性能」が存在しない、これだけの理由。
【僕も「安さ」は大好きです】 ちなみになんですが、僕はネットで買い物をする時、死に物狂いで「1円でも安い店」を探して買うタイプです(笑)。 スペックが同じなら、聞いたこともない中華製の商品でも選択肢に入れます。安さは正義ですから。
ただ、そんな僕でも理解している「この世の不文律」があります。 それは、「同じ性能の物は、メーカーが違っても大体同じ値段に落ち着く」ということ。 車でもパソコンでも、原価や組み立て工程が同じなら、極端な価格差は生まれません。10万円のパソコンなら、新品でも中古でも「10万円分の性能」なんです。
夢も希望もない話ですが、「激安なのに超高性能」なんて物は存在しません。 安さには必ず理由(スペックダウン、中古、型落ち)があり、それを許容できるかどうかが買い物の本質です。 形のある商品ならそれで良いんです。性能も見た目も決まっていますから。
【相見積もりの「本当の」使い方】 塗装工事における「相見積もり」。これは絶対にするべきです。 相場を知らないお客様がボッタクリを防ぐための、唯一にして最強の自衛手段ですから。
ただ、相見積もりをされた時の業者の反応は、大きく3つに分かれます。
- 高くなる店(競争が面倒。「取れたらラッキー」で高めに出す)
- いつも通りの店(僕です。値段を変えるのが恥ずかしいのでそのまま出します)
- 安くなる店(仕事を取るのに必死で、他社に合わせて下げる)
ここで注意してほしいのが、「A社さんは〇〇万円だったよ」と他社の金額を伝えてしまうこと。 「じゃあ、うちはそれより安くします!」という展開、一見お得に見えますが……これが一番危ないんです。
【その「安さ」の正体】 こちらの図を見てください。

- [正常な見積もり] これが正常な状態です。足場、塗料、職人の手間賃(原価)を積み上げ、その上に「利益(青い部分)」が乗ります。
- [無理な値引き後] 「他社より安くします!」と言って、利益(青い部分)を削りすぎるとどうなるか。

青い部分が原価(黄色や赤のブロック)より短くなっていますよね? 完全に赤字です。 でも、リフォーム工事の恐ろしいところは、「これでも黒字化できてしまう」ことなんです。
業者はボランティアではありません。赤字のまま工事はしません。ではどうするか? 下のブロック(原価)を削るしかないんです。
- 足場代を削る = 一部の足場を組まずに危険な作業をする
- コーキング代を削る = 撤去すべき古いコーキングの上から塗る
- 塗装代を削る = 塗料を薄める、塗り回数を減らす
iPhoneの上級モデルくらいの値段で家一軒の塗装を請け負う下請け・孫請け業者も実在します。それでも、プロが塗れば完成直後は綺麗に見えます。素人目には分かりません。 でも、中身はスカスカです。
【誰がその「負債」を背負うのか】 塗料のグレードを下げても、工事費全体から見れば10%も変わりません。 じゃあどこで下げるかと言えば、結局は「人件費(手間)」です。 人件費を半額にして激安工事を実現した場合、現場に来るのはファストフードの深夜バイト並みの給料で働く人間になります。 でも彼らもそんな金額では到底やってられないので作業に係わる時間を極限まで減らそうとします。そんなモチベーションの人に、大切な家の工事を任せられるでしょうか?
無理な値引きで発生した「負債」は、業者が被るわけではありません。 「数年ですぐダメになる」という形で、最終的にはお客様が被ることになるのです。
安さが「適正な企業努力」の範囲内なら大歓迎です。 でも、それを超えた安さは、品質(寿命)を切り売りしていると思って間違いありません。


